労働基準監督署への相談増加と是正策
労働者保護の観点からの労働基準監督署の指導強化の潮流が続きます。企業側の対応には本格的システム整備が有効となってきました。
全国労働基準監督署の相談件数の増加
平成17年度…907,869件
平成18年度…946,012件(前年比4.2%↑)
平成19年度…995,061件(前年比5.2%↑)
平成20年度は100万件を越す勢いです。
社員の労働基準監督署へ飛込みにより、労働基準監督署が動いて調査した統計(東京労働局)、但し労働基準監督署が定期的に行なう調査件数を除く
平成18年…5,363件(前年比0.7%↑)
平成19年…5,819件(前年比8.5%↑)
平成20年…6,567件(前年比12.9%↑)
増加の理由
- (1)雇用の多様化が進む
- 昔は、正社員、パート、アルバイトなど少なかったが、現在は更に、契約社員、派遣社員、協力会社の社員、業務請負人など複雑化した
- 業種、業態、給料や休日などの労働条件も多様化で複雑化し、問題が起こりやすくなった
- (2)労働組合も年々減少
労働組合は会社との話し合いや、組合員同士のコミュニケーションの場として、「調整弁」の機能があるが減少化により機能劣化している
労働基準監督署ともめるポイント
- 長時間の勤務が当たり前となっている業種
- 報道等で労働問題が取り上げられた業種
- 伸びている業種(例:人材派遣、IT)
(1)最も注意すべき項目は、「残業時間・残業代」と「休日出勤」の運用で、労働基準監督署はこれらを重点チェックする。平成15年5月に「賃金不払残業総合対策要綱」が出て、調査ポイントとして強化した
(2)労働基準監督署の狙いは「サービス残業」の撲滅。業種で絞る傾向がある
(3)労働基準監督署の調査で、給与や労働時間に関する不備が見つかれば「是正勧告(=法律違反)」となる
(4)実際、遡り支払い(2年前にさかのぼり、未払いの残業代を払いなさい)勧告が出る
100%保全できている企業はないが、残業、休日出勤に関しては下記が手法として有効です
- 残業、休日出勤に関する労使協定を毎年労働基準監督署に提出
- タイムカードを導入
- 残業、休日出勤の事前許可制
- 適正な残業手当、休日手当の支払い
- 仕事の忙しい時期、暇な時期に合わせて、労働時間を調整する
- デザイナー他特定社員に関しては、労働時間を管理しない
文章作成時点の法律を参考に作成しております。最新の法律情報はお客様ご自身でご確認ください